コラム

自然分娩・無痛分娩・帝王切開の違いや特徴は?

赤ちゃんの出産方法には主に自然分娩、無痛分娩、帝王切開があります。どの方法にもメリットやデメリットがあり、お母さんの体の状態や、出産リスクなどを総合して考えたうえで、どの方法で出産するのか決定します。

本記事では、自然分娩、無痛分娩、帝王切開について、特徴やリスクを解説します。

 

1.出産方法の種類

出産方法には、自然分娩、無痛分娩、帝王切開と大きく分けて3種類あります。自然分娩は、陣痛を待って麻酔などは使わずに自然と産む方法です。陣痛の進み具合を見ながら、お母さんの体の力で出産することが特徴です。一方で、無痛分娩は麻酔を使用して陣痛時の痛みを軽減する方法です。麻酔の種類は「硬膜外麻酔」が一般的です。帝王切開は、出産時におなかと子宮を切開して赤ちゃんを取り出す手術のことで、自然分娩が難しい場合や、緊急時に帝王切開を行うことが多いです。

 

2.出産方法はどうやって決めるの?

お母さんの健康状態と赤ちゃんの状態によって、出産方法の選び方が大きく変わります。自然分娩を希望していても、妊娠高血圧症候群前置胎盤といったリスクがある場合には、帝王切開を提案されることがあります。また、無痛分娩を希望する場合でも、お母さんの合併症や過去の手術歴などによっては、無痛分娩が難しい場合があります。妊婦健診の時から医師とよく相談し、お母さんの意向と安全性をすり合わせて検討することが大切です。

 

3.自然分娩・無痛分娩・帝王切開のリスクを比較

自然分娩は、母体の体力や陣痛の進み具合によっては、胎児が低酸素状態となり負担が増すリスクがあります。無痛分娩では麻酔によって血圧が下がったり、まれに麻酔合併症が起こるリスクも考えられます。帝王切開は手術リスクや術後感染のリスク、麻酔に伴うリスクなどが挙げられますが、お母さんや赤ちゃんの状態によっては、安全性を確保する最善策となる場合があります。

 

4.産後の回復の違い

自然分娩は出産直後から体を動かせることが多く、母体の回復も比較的早いとされています。赤ちゃんとのスキンシップや母乳育児を比較的すぐに始めることができますが、会陰切開などを行った場合には痛みがしばらく続き、傷口のケアが必要になることもあるため注意が必要です。無痛分娩の場合は、陣痛中の負担を軽減して出産に臨めることから、疲れによる体のダメージが少なく、出産後も比較的元気な状態で過ごせるといわれています。一方、帝王切開は手術に伴う入院期間が長くなりやすく、術後の痛みもあるため、体力の回復にはある程度の時間が必要になります。特に出産が初めてという方にとっては、術後の生活における動作が負担に感じる場合もあるため、自宅に戻ってからもできるだけ周囲からサポートを受けられる体制を作っておくことが大切です。

 

5.無痛分娩と自然分娩では帝王切開になる確率に違いがある?

無痛分娩を希望する人のなかには、麻酔を入れることで陣痛が弱まるのではないか、あるいは分娩時間が長引いて最終的に帝王切開になる確率が高くなるのではないかと心配する声があります。反対に、自然分娩では痛みが強い分、陣痛が正常に訪れればスムーズに出産することができて、帝王切開のリスクが低くなるのではないかという意見もあります。しかし、妊娠中の合併症の有無や赤ちゃんの向き、大きさなどさまざまな理由で帝王切開が必要と判断されることがあるため、一概に無痛分娩と自然分娩で帝王切開率が大きく変わると決めつけることはできません。麻酔の有無や陣痛の強さだけが関係して帝王切開になりやすいというわけではありません。

 

6.出産方法の選び方で気をつけたい点

出産方法を選ぶ際には、まず自分の希望を明確にし、家族やパートナー、そして医療スタッフと相談することが大切です。無痛分娩を希望の場合、対応できる病院を早めに探したり、麻酔に伴うメリット・デメリットについて情報を集めることが必要です。自然分娩を望む場合でも、緊急時には帝王切開に切り替わる可能性があるため、保険としてリスクや追加費用を把握しておくと安心できます。帝王切開を選ぶ場合は、術後の回復期間が長めになることを前提に、産後しばらくの生活をどう組み立てるか、家族との連携やサポート体制を考えておかなくてはいけません。また病院によっては自然分娩に力を入れているところ、無痛分娩の実績が豊富なところ、帝王切開の数が多く症例経験が豊富なところなど特色が異なります。出産を予定している地域で評判の良い産院を調べ、健診時に医師や助産師に質問するなど、納得できるまで情報収集を続けることで安心して出産できます。

 

7.二人目以降の出産方法

一度、帝王切開を経験すると再び帝王切開になる確率が高いと言われているため、一人目を帝王切開で出産した場合、二人目以降は自然分娩が可能かどうかを主治医と確認する必要があります。子宮の切開部分が十分に回復している場合は、経腟分娩を行える可能性がありますが、子宮破裂のリスクも考えられます。前回が無痛分娩だった人が二人目を自然分娩にするケースもあれば、逆に一人目は自然分娩で、痛みにトラウマのある場合に無痛分娩を選択する人もいます。また前回が自然分娩であっても、今回の妊娠の経過があまり良くなかったり、赤ちゃんの発育状況などによって帝王切開を提案される場合もあります。