コラム

出産にかかる費用はいくら?

出産にあたって、どれくらいの費用がかかるか気になる方は多いかと思います。実際にかかる費用のほか、保険や公的な制度でどれだけサポートが受けられるのかを知っておくと、経済的な不安を減らすことができます。

本記事では、出産にかかる費用のほか、経済的に負担を減らすために使えるサポート制度、分娩を行うクリニックの選び方まで解説します。

 

1.出産費用の相場

「正常分娩」の場合、平均で40万円から50万円程度が相場といわれており、健康保険の適用外となります。しかし、入院日数や病院の設備、地域によって差があるため、必ずしもこの金額に当てはまるわけではありません。実際にどのくらいの費用がかかるのか具体的に知るためには、病院やクリニックが公表している情報を確認するのが確実です。経産婦の方でも初めての病院を利用する際は、事前にチェックしておくことが大切です。出産費用を大まかに把握することで、貯金の見通しをイメージしやすくなります。

 

2.出産育児一時金とは

「出産育児一時金」は、公的な健康保険に加入している人が出産した場合、原則50万円が支給される制度です。被保険者本人だけでなく、被扶養者として登録されている配偶者が出産した場合にも対象となります。支給を受けるには「直接支払制度」や「受取代理制度」を利用する方法が一般的で、特に、直接支払制度は手続きが簡単と言われており、手間や負担を減らすことができます。国民健康保険や会社の健康保険など、加入する保険の種類によって窓口が異なるため、事前に自分が加入する保険組合や自治体の案内を確認しておくことが必要です。

 

3.入院・分娩にかかる費用の内訳

出産に伴う費用は大きく分けると「入院費」「分娩介助料」「新生児管理保育料」などに分類できます。入院費は、個室を希望した場合に差額ベッド代が発生することがあり、その分高額になりがちです。分娩介助料は、医師や助産師のサポート料を指しており、施設の規模や医師の人数によって金額が異なります。また、新生児管理保育料として赤ちゃんが生まれてから退院までに行われる診察や検査費用が上乗せされる場合もあります。妊娠中の健診にかかる費用も積み重なるため、自治体から付与される妊婦健診の補助券などの制度を活用しながら、トータルでどのくらいの支出が必要になるか見極める必要があります。

 

4.帝王切開の費用について

吸引分娩、鉗子分娩などの医療行為が伴う「帝王切開」の場合は保険適用になることがあります。帝王切開は手術として扱われるため、健康保険による3割負担の対象となります。ただし、帝王切開は入院期間が長くなる場合があり、その分の食事代や差額ベッド代がかさむ可能性があります。

 

5.民間医療保険について

出産費用の負担を少しでも減らすために、民間の医療保険を活用する人も増えています。妊娠前に加入していれば、妊娠・出産に伴う入院費や手術費が補償対象となるプランを選ぶことが可能です。妊娠発覚後に保険に加入した場合は、既契約の段階で「妊娠・出産に関する特約が適用外」とされることが多いため注意が必要です。妊婦が新たに保険に加入する際には、持病の有無や合併症のリスクなどを踏まえた審査が行われる場合もあり、簡単に契約できないこともあります。もし帝王切開などが必要になったときに備えてサポートを受けたい場合は、早めに保険の加入を検討しておくと安心です。また、どのような保険が最適かは、それぞれの家庭の家族構成や予算によって異なるため、各社の保険商品を比較検討して、自分に合ったプランを見つけることが重要です。

 

6.妊婦健診やクリニックの選び方

妊婦健診の費用は自治体が発行する補助券を使用することで、負担が軽減される場合がありますが、自治体や病院によって補助の内容や受診料金が変わります。出産するクリニックを選ぶ際は、費用面だけでなく、スタッフとの相性、通院のしやすさなども含めて検討することが大切です。個人経営のクリニックは手厚いケアを受けやすい反面、費用が高めになる傾向があります。一方で総合病院や大学病院は医療体制が充実している一方、入院費が比較的リーズナブルでも待ち時間が長いなどのデメリットもあります。実際にかかる費用やサービス内容は産院ごとに異なるため、見学会や説明会に参加して情報を集めることがおすすめです。

 

7.経済的負担を軽減するポイント

出産に備えて経済的負担を軽減するには、まず出産費用の概算を把握しておくことが大切です。そのうえで、出産育児一時金をはじめとする公的制度を確認し、必要に応じて民間医療保険の加入や見直しを検討します。さらに、妊娠中から家計簿を見直して、出産後にかかる育児の費用も見据えることが重要です。医療費控除の対象となる経費がある場合は確定申告で申請することで、所得税や住民税を抑える可能性があります。出産は一生に何度も経験するわけではなく、準備する期間にも限りがあるため、知識を早めにつけて公的なサポート制度をうまく活用することが重要です。